ぐんめんひみつきち

見た映画の忘備録

みぎうちきらい

大学に入学してしばらくした後、友人に朝鮮玉入れに誘われた。
朝鮮玉入れなんて情弱のやるもんだ、養分のやるもんだ。と最初は行かなかったが、何度も誘ってくれてるのを毎回断るのも悪いしまあ話のタネにと一度行ってみることにした。

最初に打った機種はパチンコTRFだった。今でも忘れない、ボタンがバカになっておりいくら押しても回しても大当たり中の曲は寒い夜だからから変更できなかった。千円が無くなったところで友人の隣に移動することにした。

次に打った機種は当時大流行しており、現在でも後継機が出ているのにも関わらず1円パチンコなどでよく見る名機海物語沖縄甘デジ、通称黄海であった。
千円が消え、もう千円突っ込んだところでそれは来た。大当たりである。
うまい具合に確変にも突入し、順風満帆な滑り出しとなった、当時のおれにはサッパリわけわからなかったが。
わけがわからないまま打ち続けるとおれの後ろにはドル箱が三つ四つ積まれていた。
そして用事があった友人は途中で帰る事となり、おれにパチンコのやめ方を教えて行った。
「いいかぐんそぅ、やめるときはドル箱がいっぱいになった時と同じように店員をコールボタンで呼ぶ、呼んだら手でバッテンマークを作るんだ、そしたら紙がもらえるからそれをカウンターに持って行くと景品がもらえる、それを交換して現金ゲットだ、カードは機械に入れてお金を取り出すのを忘れるなよ」

当然おれはサッパリ理解できなかった。
確変が終了し当たる気配が無くなったところで店員を呼ぶ、そしてドキドキしながらバッテンマークを作ると店員がドル箱を持って行ってくれる。よかった、成功だ。カードもきちんと取った。
カウンターへ行き景品もきちんともらった、さてこれからどうするのかがサッパリわからない。カードを入れて現金ゲットだと友人は行っていた。この景品もカードだ、つまりこの景品のカードを精算機とかいう機械に入れたら現金が出てくるんだなと予想したおれは躊躇無く精算機に景品カードを投入した。
そう、パチンコの三点交換方式の事をおれは全く知らなかったのだ。
機械はエラーを吐き近くにいた店員が笑いを堪えながら対処してくれた。
結局千円と少しの儲けだったと思う、こんな恥ずかしい思いをするならパチンコなぞいらぬ。私はそれ以降しばらくパチンコに行かなかった。

しかし一度行くとまた誘われる事が多くなる、もう一度だけ付き合うか、勝っても千円負けても千円だ。とパチンコ屋に向かったのが運の尽き、私は運命の出会いをする。
パチンコCRAエヴァンゲリオンプレミアムモデル、通称金エヴァである。
単純な演出の海と違い、シンクロリーチ、暴走モード、背景予告、ミッションモード、ストーリーリーチ、全回転などなどのめくるめく素晴らしい演出の数々にどハマりしてしまった。
スペックも良かった、千円二千円で十分に遊べるというのは貧乏学生の暇潰しにピッタリだった。
おれは貴重な大学生活の少なくない時間を金エヴァと共に過ごした。もう見てない予告は無いだろうというぐらいに打ち込み、時には勝ち時には負け、順調にパチンカスへの道を歩んだ。
途中アクエリオンやら新しいエヴァも打ったがなんだかんだで金エヴァが最高だった。しかしある日、金エヴァを超越する名機と出会う事になる。

その名機とはパチンコがんばれ!!タブチくん!!である。
この台はいわゆるデジパチと違い昔ながらのハネモノである、中身は結局機械制御だろうが。チェッカーを玉が通過するとアタッカーが開きそこからうまい具合に玉が進むと中央に据えられたヤクモノのタブチくんがバットを振るい玉を打つというあまりに馬鹿げた演出におれと友人は夢中になった。
大学をサボり朝から晩までタブチくんを打ち続けた、奇妙な光景であろう、若者二人が流行りの台を素通りし朝から晩までタブチくんを打っているのだ。
そして何よりこの台、少ない投資で結構長い事遊べたのだ、千円あれば一日遊べて時には増える。
その台が撤去された時は多いに悲しんだ。

その後も順調にクズ化していったおれは様々な機種で遊んだ、北斗の拳サウザーの擬似連を見たら勝ってても負けててもやめて帰るという謎な遊びにもハマった。思い出深い機種もいくつかある、エヴァ7、地獄少女、バーストエンジェル、餃子の王将、どれも素晴らしい台だった。時には三千円負け、時には二万円も勝った、その月最後の千円札を20分で溶かしたこともあった、生まれて初めて五枚目の千円札をパチンコ台に入れた時はドキドキして死ぬかと思った。

今年から金銭的事情と何より家でゲームしてた方が安いという事に今更ながら気付いてしまい(遅い)、行く頻度は激減した、試しに今年から概算ではあるが怖くてしてなかった収支計算をしてみたところ今年は一応プラス収支となっていた、でもやはり滅多に行く気はしないのである、それでも、それでも確かに、一番楽しかった大学生活の1ページに、しっかりと楽しい楽しいパチンカス時代の事は綴られているのだ、全く後悔はしていない。実に、実に楽しい青春だった。

と、いうことを本日時間潰しに入ったパチンコ屋の0.5円パチンココーナーに金エヴァを発見し、打ちながら思ったりしていた。
0.5円パチンコともなれば換金しても大した額にはならんしめんどくさい。
嵩張らない景品に変えてくれとタバコを一箱とレッドブルシュガーフリーをもらった。普通のレッドブルもあったのにおそらくおれの体型を見てシュガーフリーをわたしてきたにーちゃんは出来る奴だ。
喉が渇いていなかったしこれから酒を飲むのにレッドブル飲むのもなんかアレな気がしたからレッドブルはススキノで飲み屋の客引きでおれたちを引っ張って行ったお兄さんにプレゼントした。
ジンギスカンを食べ終わった後のムフフを提案してきたがお腹いっぱいだからもういいよと言うとレッドブル効果かしつこくしないで親切に送ってくれた。
レッドブルを飲まなかった事を考えると今日はトントンである、一番健康的なパチンコの遊び方かもしれない。

今後もあまりに暇かつ打ちたい機種があり金がある場合は時々パチンコに行く事もあるだろう、しかしこのトントンの精神を忘れずに熱くならずに、引き際を見極め、漫画でも読んでジュースでも飲んで帰る事を忘れずに生きていきたい。