ぐんめんひみつきち

見た映画の忘備録

バケモノ村滞在記2

翌朝早くに目を覚まし、意識がはっきりしてくると昨日の事を思い出した。
私は疲れて幻覚を見ただけでもしかしたら普通の人間が暮らしている村なのかもしれない。
そーっと外の様子を伺うとこんな朝早くからバッタを追いかけ回す鳥のバケモノが見えた、模様的に鴨だろう、私は頭を抱えた。
しかし今は鴨のバケモノしか見えないしコッソリと駅に行って汽車に乗ってしまえばもう私の勝ちである。
テントとランタンをもらって行こうか迷ったが発信機でも仕掛けられていたらたまったものではないので放置して外に出る。
始発に間に合う事を信じて私は早朝の村を駆け抜けた。遠くで捕まえたバッタを貪る鴨のバケモノが見えた。
現実は甘くはなかった、駅員のバケモノによると昨日の夜遅く、指名手配中の猫のテロリストがこの村から少し行った所で汽車ごと鉄道を爆破し復旧の目処が立たないと言う。
駅員が猫のテロリストの写真を見せてくる、見覚えがあるネコだった。
昨日この村に来る前に汽車でネコのバケモノと相席になった。
私が汽車の中で居眠りから目覚めると一匹のネコのバケモノが目の前に座っていた。
そのネコのバケモノは私にどこへ行くのか、何をしに行くのか、としきりに尋ねた。
寝ぼけていた私は特にあてがあるわけではないが引越しだと語った。
するとネコは時計で時間を確認し、眠そうだし今日は次の村で泊まった方が良いと勧めてくれた。
私は適当に返事をし、再び眠ってしまった。
衝撃で目を覚ますとこの村に到着したところだった、目の前にいたネコのバケモノは既にいない、おそらく全て夢だったのだろう、ネコのバケモノなんていてたまるかと思いながらも気になり私はこの村に降り立ったのだ。
あのネコのバケモノは爆破テロにたまたま居合わせた私を巻き込みたくなかったのかもしれないが、私はこのバケモノだらけの村に送り込まれてしまったのだ、降りても降りなくてもどちらも地獄行きと言う事だけは間違いなかったのだ。